[SS]事件報告書[元老] [story]
以前のリプレイ形態の際に、前回のお話の「あらすじ」という欄があったのですが、
前回の表示更新(...どれだけ前なんだ!?)時からあらすじのページをなくしました。
これは、前回の事件報告を読まなくてもリプレイには影響ない、ということからなんですが、
そういえば、「元老」の事件報告だけ、SS仕立てになってたなぁということで、
ここで一部修正しつつ再公開。
机の上に置かれた一枚の紙。
目の前で愛美は少し震えていた。
「……愛美ちゃんにしてはまとまってないね。やっぱり、自分が中心になった事件の報告は書きづらかったかな。」
「すみません、克巳会長。」
克巳は、にっこり微笑むと気にしないというように軽く左手を振った。
「で、中条君のことはどうなの?」
「は?」
「はははははは。愛美ちゃんらしい。ま、彼には愛美ちゃんは御せないだろうしね。」
「まず無理でしょうね。どんな力を得たとしても。」
「<力>?」
克巳の顔が翳った……。
一体この顔で全校女生徒の何人が卒倒するだろう……。
場違いな疑問を心に浮かべつつ、愛美は答えた。
「きっと彼は能力を手に入れるはずです。」
「特記事項に書いてあることかい?」
「いえ……。可能性の一つに過ぎませんが……。」
「……そうか……そういうことか。」
俯き加減の顔を正面に向け、まっすぐに愛美の目を見つめた。
「……愛美ちゃんの『可能性』はあたるからね。」
「当たってほしくないことの方が多いですけどね。」
愛美は肩をすくめた。
だが、たぶん当たるだろうと克巳は心の中で呟いた。
愛美もまた、同じことを心の中で呟いていた。
沈黙があたりを覆った。
時間は、わずか数秒。
それを破ったのは克巳。
「……愛美ちゃん。」
立ち上がりながら続ける。
「これからは僕が思っていた以上に辛い戦いになりそうだ。
委員長のみんなに十分注意するように伝えてくれないか。」
“裏生徒会”の一員になることは、潜在能力があるということ。
すなわち。[魔宝]を扱う素質を持っているということ。
「承知しました。」
――どうすれば、先輩を巻き込まずにすんだのだろう……。
俯く愛美の肩にぽんっと手が置かれた。
「報告書は、書き直し、かな。」
「だめだし、されちゃったか……。」
愛美は軽く舌を出した。
二人ともわかっているのだ。
[魔宝]を扱う人間が増える可能性がある。
それは……この先に大きな戦いが待ち受けているということだと。
克己がふいに振り返った。
「僕も中条くんは[力]を得てしまうと思う。だから。もう少し。
自分を大切にした方がいいよ。自分が傷ついても避けられないことは多いのだから……。」
「……克巳会長。コピ研前の監視カメラ、見ましたねっ!」
「え? ……い、いやそんなことないよ。」
愛美は明るく笑った。
「ご忠告痛み入ります。以後、気をつけます……ということで、報告書は書き直しませんので。」
「え? あ、もう……。ま、いっか。文書校正をノアに頼んどくよ。」
「えっ?」
「監視カメラの映像を僕に見せたんだから、ノアも同罪さ。」
「やっぱり、ご覧になってましたね!」
「え? あ、あははははは……。」
二人は笑いながら生徒会長室を出て行った。
前回の表示更新(...どれだけ前なんだ!?)時からあらすじのページをなくしました。
これは、前回の事件報告を読まなくてもリプレイには影響ない、ということからなんですが、
そういえば、「元老」の事件報告だけ、SS仕立てになってたなぁということで、
ここで一部修正しつつ再公開。
机の上に置かれた一枚の紙。
目の前で愛美は少し震えていた。
「……愛美ちゃんにしてはまとまってないね。やっぱり、自分が中心になった事件の報告は書きづらかったかな。」
「すみません、克巳会長。」
克巳は、にっこり微笑むと気にしないというように軽く左手を振った。
「で、中条君のことはどうなの?」
「は?」
「はははははは。愛美ちゃんらしい。ま、彼には愛美ちゃんは御せないだろうしね。」
「まず無理でしょうね。どんな力を得たとしても。」
「<力>?」
克巳の顔が翳った……。
一体この顔で全校女生徒の何人が卒倒するだろう……。
場違いな疑問を心に浮かべつつ、愛美は答えた。
「きっと彼は能力を手に入れるはずです。」
「特記事項に書いてあることかい?」
「いえ……。可能性の一つに過ぎませんが……。」
「……そうか……そういうことか。」
俯き加減の顔を正面に向け、まっすぐに愛美の目を見つめた。
「……愛美ちゃんの『可能性』はあたるからね。」
「当たってほしくないことの方が多いですけどね。」
愛美は肩をすくめた。
だが、たぶん当たるだろうと克巳は心の中で呟いた。
愛美もまた、同じことを心の中で呟いていた。
沈黙があたりを覆った。
時間は、わずか数秒。
それを破ったのは克巳。
「……愛美ちゃん。」
立ち上がりながら続ける。
「これからは僕が思っていた以上に辛い戦いになりそうだ。
委員長のみんなに十分注意するように伝えてくれないか。」
“裏生徒会”の一員になることは、潜在能力があるということ。
すなわち。[魔宝]を扱う素質を持っているということ。
「承知しました。」
――どうすれば、先輩を巻き込まずにすんだのだろう……。
俯く愛美の肩にぽんっと手が置かれた。
「報告書は、書き直し、かな。」
「だめだし、されちゃったか……。」
愛美は軽く舌を出した。
二人ともわかっているのだ。
[魔宝]を扱う人間が増える可能性がある。
それは……この先に大きな戦いが待ち受けているということだと。
克己がふいに振り返った。
「僕も中条くんは[力]を得てしまうと思う。だから。もう少し。
自分を大切にした方がいいよ。自分が傷ついても避けられないことは多いのだから……。」
「……克巳会長。コピ研前の監視カメラ、見ましたねっ!」
「え? ……い、いやそんなことないよ。」
愛美は明るく笑った。
「ご忠告痛み入ります。以後、気をつけます……ということで、報告書は書き直しませんので。」
「え? あ、もう……。ま、いっか。文書校正をノアに頼んどくよ。」
「えっ?」
「監視カメラの映像を僕に見せたんだから、ノアも同罪さ。」
「やっぱり、ご覧になってましたね!」
「え? あ、あははははは……。」
二人は笑いながら生徒会長室を出て行った。
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