SSブログ

[SS]番外編:ready?--描写トレーニングver0.06 [story]

ということで、描写のトレーニングです。
もう6回目になりました(^^; 私、同じのを何度も書き直したことがあまりなくて。。。
なんだか楽しくなってきました(ぉぃ

初回2回目3回目4回目
5回目

今回も全く同じシチュエーションで書いてみました。
自分の中にあるイメージがどんどんと広がっているので、「修正」という形ではありますが、
そのイメージを書き込んでいく、というのを心がけるようにしています。

しかし、感覚を描写する、ってのはほんと難しいけど、大切ですね。
今回も前回までとは違った感覚「(嗅覚の鋭い愛美なら感じてるであろう)潮の香り」とか、
「首元を通り抜ける風」とかを書いてみました。
前者は、(どこかでのちのち書き足していきたい)愛美の動物的な嗅覚の鋭さの伏線、
後者は、涼しい、という言葉を使わずに冷たさを表現したいという挑戦です(^^;

そのために、海と丘が遠いというのを何とか表現したいんですけど難しいなぁ。。。

題材は、蒼明学園版のready?です。

書き込んでみたらばこうなる、という感じです。
最後の部分が少し付け加えられてます。こんな感じで新たな物語が紡いでいこうと考えてます。
。。。いつになることやら(^^;
---------------------------------------------------------
-. ready?

遠くにはきらめく海が見える。
あらぶることなく、穏やかに、学園を見守っている。
高速で移動するリニア、行きかう人を暖かく包む商店街、
遅くまで残っている生徒たちの声が聞こえる校舎………。
丘に植えられた木々で海以外はどれも見えないが、彼女の目には
全て映っていた。

瀬戸内海を埋め立てて造られた学園都市、蒼明学園。
その中でも海から最も離れた所に位置する「文化の丘」。
丘の上にある平安時代エリアの真ん中にある庭園には、樹齢
1000年以上とも言われる大樹がある。
京都の旧家から植え替えて、まだ1年足らず。
園芸委員会が丹精こめて世話をして、今根付くのを待っている。

彼女はその樹の保護柵の中で、もたれながら、リズム良く扇を
左手に叩きつけていた。

――私がここを選んだのは、ひょっとしたら、この樹に見守って
  もらいたかったのかもね。

手にした扇を一瞬見つめると、しっかりと懐に入れた。

紅色の和紙で作られた扇面の上部は、骨と同じ材質の鈍く輝く金属で
縁取られている。
つまり、閉じたまま叩けば相手はケガをするし、開いて投げれば切り
裂かれる。さらに、金属で作られているにも関わらず、重さは通常の
扇とほぼ変わらない。
この扇はメカにかけては、右に出るものはこの世にいないと言われる
白河静音生徒会会計が彼女のために造ってくれた専用の武器だ。

懐をぽんっと叩くと自然にふぅぅっと息がこぼれた。

―― 大丈夫、大丈夫

首元を風が通り抜け、潮の香りが鼻先を掠めた。
彼女は軽く首をすくめると、慌てて左腕にかけていた淡い桃色のストールを
開き、ぱさっと羽織った。
ラメの入ったストールが月光に輝きかすかな光を帯びた。
すばやく首を隠すようにストールを開き、帯に気をつけながら左手で背中を整えると、
端を持ち胸の前で軽く合わせる。

右手でストールの端についているフリンジのふわりとした、滑らかな手触りを
感じて思わず唇の端から笑みがこぼれる。

多少荒っぽく振舞っても問題ないように丈夫な生地を選び、撥水加工を
施してあった。
たとえ、数度切りつけられても破れはしない。

左手首を返し、文字盤を確認する。
赤く細い皮のバンドに少し違和感を覚えつつ、目を細めてアラビア文字を見つめた。

針は19時少し前を指していた。

濃紺の地に薄紫の大きな花が舞う浴衣も、この日のためにつくったものだ。少し厚手の
生地を使い、何が起きても問題ないよう、金属が編みこまれているという噂も聞いた。
もちろん、蘇芳色の帯にも。

そんなことが起きないように願う――いや、しなくちゃいけない。
ここで、血を流すことなどあってはならない。
化粧もしていない色白の頬がピンクに染まり、唇はつややかな赤色にかわっていた。
目元は少しつりあがり、軽く見開いているのだろうが、それを見ることはできない。
いつもどおりサングラスをして、視線をさえぎっている。

樹の冷たさが、背中から伝わる。
冷静になれ、と彼女に語りかける。

――大丈夫。ありがとう。

心の中で呟いた。

首をわずかに左に傾けると、短い前髪をかき上げ、深呼吸を数回。
最後に大きく息を吐き出すと、つまさきで地面を突こうとして、慌てて止める。

浴衣には下駄を合わせたいところだが、サンダル。
柄の部分は帯と同様蘇芳色の落ち着いた絵柄だが、浴衣と同じ生地で作った花を
クリップで留め、若さを出している。
もちろん、これも金属が埋め込まれていてちょっとやそっとでは切り裂けない。

もう一度、軽く息をつくと、持っていた籐かごをあけた。
少し太めの竹でできたもち手と、財布やハンカチを入れても文庫本が入る余裕がある、
という理由で選んだお気に入りの一点だ。
片手で赤紫の紐を解き、中に生徒会専用腕時計の文字盤が見えていることを確認すると
少し表情を緩めた。そのまま紐を縛り、籐かごの口を閉める。

どーーーん!

遠くから聞こえる花火の音が、彼女に19時を告げた。

「愛美ちゃん、カメラっ子が一人配置されるらしいでぃーす。紀家くんとも連携済ですー」
「カメラは、担当がまだそっちに行ってないみたいだから僕たちで押さえとくよ」
「それじゃ、二人は学校に行くのね」
「もう移動してまぁーっす」

サングラスの耳にかける部分に埋め込まれた超小型のレシーバーから、
仲間の声が聞こえてきた。

「愛美ちゃん、女の子の方は俺にまか……」
「天草くん一人には任せられないですから、私と有ちゃんがついていきますので安心してください」
「地下倉庫には3人ね……龍之介くん、大丈夫?」
「女の子を救うためならっっ」
「ちゅうちゅう」
「きゃぁっ、たすけてぇっ♪」

思わず笑いそうになるが何とかこらえる。

「もう、相変わらずなんだから」
「……とにかく、私たち二人だけですでに向かってますから」
「おい、待てよ、俺を置いていくなって!!!」

―― 仲間を信じて……

「すまないが男子寮B棟の封鎖はぎりぎりになりそうだ」
「宗祇くん、どれくらいになりそうなの?」
「帰宅途中の生徒が多いからな、フロア封鎖に変更して10分後完了予定だ」
「……予定より5分遅くなるのね」

―― 5分か……。

「それなら問題ないわ。私から東先生には予定より5分遅れるようにお願いしておいたから」
「……江島の読みに感謝だな」
「できることなら愛美ちゃんと会わないで済むほうが助かるしね」

大きく深呼吸を一つ。
意外に大きな息遣いに愛美は肩を震わせた。

「しかし、江島くんが和装というのも動きが不自由だな」
「そういう要望だから仕方ないのよ」
「相手は江島くんの扇子を気にしているのか」
「……コンピュータ同好会では投げないようにはしてたみたいだけど、
 もぐらたたきとかするとわかっちゃうから」

---------------------------------------------
2,281文字です。

原稿用紙6枚超えましたね。この後を続けていかなくちゃ(笑)

today's BGM -- なし 
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ゲーム

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0