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[SS]番外編:-.ready?--描写のトレーニング [story]

久しぶりに書こうとしましたが、その前にトレーニングが必要だろうということで、
初回2回目3回目
やってみたものを全く同じシチュエーションで書いてみました。
もちろん、前回の状況があるので、修正、という形ですが、頭の中で状況がしっかり
イメージできている分、描写の間に彼女の想いを入れたりできて、話が膨らんでいきそうですね。

感覚を描写する、ってのはほんと難しいけど、大切ですね。
ほんと、自分の感覚を「あぁ、いまこう感じてるんだな」って感じながら、生きていかなきゃもったいないっすね。

題材は、蒼明学園版のready?です。

書き込んでみたらばこうなる、という感じです。
これが、さらに1週間後の、今のあたしの限界(笑)
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-. ready?

蒼明学園が誇る文化施設「慈恵殿」。
老朽化のため取り壊しが決まった京都の旧家を、理事長の鶴の一声で、ここ蒼明学園北
地区に移築された。その後、宮大工を数百人集めて改修し、今では体験型文化施設「文
化の丘-平安-」でも人気施設の1つとなっている。
毎週のようにここに通っていた女性が、ここで純和風の結婚式を挙げたのを初めとして、
十二単の着付け体験、雅楽やクラシックのコンサート、茶会などのイベントが毎日のよ
うに開催されており、毎日賑わっている。
イベントのない時も公園として学内外に無料公開しており、学外からの社会見学や、恋
人たちのデートスポットとして、非常に好まれている施設だ。

だが、今日に限っては彼女以外の人影は一つもない。
鈍く光る扇子を左手に叩きつけながら、夜空を見つめた。

彼女がもたれている大樹も、旧家とともに京都から植え替えたものだ。
園芸委員会が主体となって、土壌も入れ替え、この地に根付くのを待っている。

――この樹が見てきた今までの歴史を生徒が知り、
  今後の歴史を作る生徒をこの樹が見守る、ありがたいことだ。

植え替える際に理事長はそうおっしゃったそうだ。

――私がここを選んだのは、ひょっとしたら、この樹に見守ってもらいたかった
  のかもね。

扇を一瞬見つめると、しっかりと懐に入れた。
金属のように黒光りする骨だが、重さは通常の扇子とほぼ変わらない。
誰もが認めるメカフェチ、生徒会会計・白河静音の自信作で、かなりの軽量化を
施すと同時に、紅色の和紙で作られた扇面に、同種の金属で上部を縁取ってあった。
閉じたまま叩けば相手はケガをするだろうし、開いて投げれば切り裂くだろう。

涼しげな風が頬を撫でた。
真夏の夜とはいえ、丘の上は少し肌寒い。

襟を軽く押さえ整えると、左腕にかけていた淡い桃色のストールをひらいた。
腕を小刻みに動かし、手のひらの中にいくらかたくし込み、ぱさっと羽織る。
ラメの入ったストールが月光に輝きかすかな光を帯びた。
すばやく首を隠すようにストールを開き、帯に気をつけながら左手で背中を整えると、
端を持ち胸の前で軽くもった。
ストールの端についているフリンジのふわりとした、だが、滑らかな手触りを
楽しむと思わず唇の端から笑みがこぼれる。
この生地は多少荒っぽく振舞っても問題ないように丈夫なものを選び、撥水加工を
施してあった。加工してもシルクのような滑らかな肌触りが、彼女の一番のお気に入りだ。

左手首を返し、文字盤を確認する。
赤く細い皮のバンドに少し違和感を覚えつつ、目を細めてアラビア文字を見つめた。

針は19時少し前を指していた。

濃紺の地に薄紫の大きな花が舞う浴衣も、この日のためにつくったものだ。少し厚手の
生地を使い、何が起きても問題ないよう、金属が編みこまれているという噂も聞いた。
もちろん、蘇芳色の帯にも。

そんなことが起きないように願う――いや、しなくちゃいけない。
ここで、血を流すことなどあってはならない。
化粧もしていない色白の頬がピンクに染まり、唇はつややかな赤色にかわっていた。
目元は少しつりあがり、軽く見開いているのだろうが、それを見ることはできない。
いつもどおりサングラスをして、視線をさえぎっている。

樹の冷たさが、背中から伝わる。
冷静になれ、と語りかける。

――大丈夫。ありがとう。

心の中で呟いた。

首をわずかに左に傾けると、短い前髪をかき上げ、深呼吸を数回。
最後に大きく息を吐き出すと、つまさきで地面を突こうとして、慌てて止める。

本当は下駄を履きたかったところだが、動きやすさを重視してサンダル。
もちろん、これも特注だ。柄の部分は帯と同様蘇芳色の落ち着いた絵柄だが、
浴衣と同じ生地で作った花をクリップで留め、若さを出している。

もう一度、軽く息をつくと、籐かごをあけた。持ち手が少し太めの竹でできており、
財布やハンカチを入れても文庫本が入る余裕がある、という理由で選んだバッグだ。
片手で赤紫の紐を解くと帯と共布の内布を開き、中にいつもの腕時計の文字盤が
みえていることを確認するとそのまま紐を縛り、籐かごの口を閉める。

どーーーん!

遠くから聞こえる花火の音が、彼女に19時を告げた。

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1,697文字です。

原稿用紙4枚超えましたね。この後を続けていかなくちゃ(笑)

today's BGM -- なし 
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